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GR5

GR5は、オランダの Hoek van Holland から始まり、ベルギー、ルクセンブルグ、スイスを通ってフランス南部のニースまで続く総距離2600kmの長い長いトレイルです。

レマン湖からニースまでのフランス国内の GR5だけでもまぁまぁ速いペースで歩いて1ヶ月はかかります。

私たちが歩いたのはそのごく一部、レマン湖畔のトノン=レ=バン(Thonon-les-Bains) からエム(Aime)という村まで200kmあまり、10日間の道のりです。2016年の8月中旬、2人で歩きました。

主に山の中を歩き、時々町を通り過ぎます。

スイス側の山々までずーっと見渡せる広大な風景に「あぁ、きれい」と思わず声が出て、モンブランが徐々に近づいて大きくなるのを見ながら、よく歩いたなぁ、と実感できる道です。

出発地点の街にも到着地点の村にも電車の駅があって、アクセス良好なところも魅力です。

フランスのロングハイクGR5の一部

まとめ

およその目安は考えつつ体調と気分に合わせて歩けるところまで歩いて、毎日だいたい8時間くらい歩いていました。お昼も含め2~3時間くらいは休憩していたので、朝8時に出発して夕方7時にテントを張る、ような感じでした。

10日間のうち3日間は、ちょうど大きな街にお昼頃着いたこともあり、歩いたのは半日だけ。午後はゆっくりしたり洗濯したり、レストランで食事したり。長い期間歩く時は長めの休憩を挟むと体と気分が楽になります。

GR5

ガイドブック

 FFrandonnée から出ている Topoguide 

La grande traversée des Alpes 

“Du Leman à la Vanoise"(レマン湖からヴァノワーズまで)

par le Mont Blanc et le Beaufortain 

を使っていました。

目安となる歩行時間や、ポイントごとの食料品店やレストラン、

キャンプ場の有無などが載っています。

地図は2万5千分の1で全行程分載っています。

フランス語で15.7ユーロです。

アクセス

出発地点のトノン=レ=バンへは、パリからもリヨンからもスイスのジュネーブからも電車で行かれます。Bellegarde Gare駅まではフランスの新幹線 TGVで、その先は普通電車に乗り換えます。

到着地点のエムやランドリーからは、普通電車でシャンベリーかリヨンまで出て、その後TGVに乗り換え。

もし、歩くのをシャモニーで終わりにした場合も、途中まで普通電車で、大きい駅からTGVに乗れます。

タイミングによって普通電車は、電車ではなくバスの場合もあります。

フランスの国鉄のサイトで時刻表をチェックできます。その中で Autocar と書いてあるのはバスのことです。

お金

パンを買ったり小屋でコーラを飲んだり、2日に1回は町で食料を調達したり、なんだかんだお金を使っていました。小屋は50ユーロくらい、キャンプ場に泊まれば2人で15ユーロ前後。キャンプ場でも大きい街ならカードは使えますが、山の中の小屋では難しいかもしれません。また、シャモニーやサモアンスは大丈夫ですが、小さい町にはATMが無いこともあるので(シャペルダボンダンスにはありませんでした)、現金はある程度持っていった方がいいと思います。

フランスのロングハイクGR5

フランス

電車でトノンに着いたら、 30km先で南下するまで東方向に向かいます。

トノンの街中を抜け、田舎の村をいくつか通り過ぎてから山の領域に入ります。尾根のハイキングコースをカズ(Lac de la Case)という湖まで歩きます。  

ここでそのままGR5を進むこともできますが、私たちは寄り道して2221mのダンドッシュ山(Dent d’Oche)に登りました。

岩にしがみつくようにして登ります。歩き始めて2日目の荷物を背負った体には堪えましたが、登った後の眺めで疲れは吹っ飛びます。レマン湖と今まで自分が歩いてきた道と周りの山が一望できます。

レマン湖 ダンドッシュ
Thonon-les- Bains から Aime まで  10日間 160km

頂上の100mくらい手前にダンドッシュ小屋(Refuge de la Dent d’Oche)があるので一泊。泊まった日は曇りでしたが、晴れているととてもきれいに夕日が見られるそうです。

GR5 ダンドッシュ小屋

翌朝、頂上に登ります。頂上からはぐるり大パノラマで、スイスのダンデュミディ(Dents du Midi、写真左のギザギザした山)や、これから向かうモンブラン(写真右の白い山)やはるかアルプスの南の方 まで見渡せます。

 

頂上からは小屋と反対側に下って GR5に戻りシャペル シャペル ダボンダンス(La Chapelle d’Abondance)という町に向かいます。

フランス ロングハイク モンブラン

歩き始めると突然ブクタン!こんなに大量の野生動物をいっぺんに見たのは初めてだったので、かなり興奮。角がカーンカーンとぶつかり合う音が、カラッとした空気によく響いていました。

 

ブクタンを見たしばらく後に南下する分岐点に差し掛かり、そこから3、4時間も歩くとシャペル ダボンダンスに到着します。

GR5 ブクタン

 これからはスイスを目指し、森の中を登り始めます。森の中や草地を登ったり下ったり、歩きます。

フランス ロングハイク
アボンダンスチーズ
アボンダンスチーズ

GR5を南下し始めてからずっとこのあたりはアボンダンスというチーズを作っている地域です。途中の酪農家の家でチーズプレートを食べられたり、チーズを量り売りしてくれたりします。

おいしいとは言え、お昼にパンと大量のチーズだけはなかなかヘビーですが、他にメニューがないので渋々食べます。

 ハイキングも4日目くらいになってくると、だんだん疲れてきます。このあたりで始めちゃってなかなかやめられなかったのがコーラドーピング。いけない!と思っても山小屋のテラスのカフェを見るとついフラフラと吸い寄せられてコーラを頼んでしまいます。で、また調子よく歩き始めます。

と言っている間にスイスとの国境に着きます。

スイスに入っても牛はそこら中にいるし、風景もそんなに変わりませんが、ドイツ語が聞こえてくるようになりました。

でも一つ、フランスとの大きな違いはGRのマークです。スイスに入ると突然、赤白のマークが黄色を黒で囲んだマークに変わります。

フランス ロングハイク
GR5

国境からひたすら下るとサモアンス (Samoëns) という、トノンを出てから一番大きな街に着きます。ここでやっと旅程の半分くらい歩きました。

 

ここからはシャモニー(Chamonix)方面に向かって歩きます。

街を出てしばらく川沿いを歩いてから山に入り森の中を歩きます。

ひたすら山の中の車道を登ったり下ったり。

そしてまた国境について、フランスに戻ります。

写真の中の男性は半袖半ズボンですが、同じ時に私はダウンを羽織っていました。

フランス ロングハイク 
GR5

自然遺産を意味する星マーク(Site classé)がいくつか地図上に見られるようになってきます。その中の一つ 、Cascades de la Pleureuse et de la Sauffaz という滝を過ぎると、乾湿の環境が入り混じる豊かな植物相の土地が保護されているパッシー自然保護区(La réserve naturelle de Passy)に入ります。

アンテルヌ湖(Lac d’Anterne)とそこから右手に見える Rochers des Fiz という岩山が見事です。

フランス ロングハイク

湖を過ぎ、アンテルヌ峠(Col d’Anterne)に向かって登ります。この峠からモンブランが真正面に現れます。ドーン。あんまりきれいでしばらく動けません。

フランス ロングハイク GR5 モンブラン
フランス ロングハイク モンブラン

アンテルヌ峠からは400m程下り、また700m程登ると 今度はブレバン峠(Col du Brevent)に着きます。

アンテルヌ峠よりもちょっと大きく見えるモンブランがまたドーン、と見えます。氷河もはっきり見えてきます。

その後次の目的地の町レズッシュ(Les Houches)まで1400m程下る予定でしたが、このブレバン峠のちょっと先にはシャモニーからのロープウェイが着いているのを発見しました。せっかくロープウェイがあるのでそれでシャモニーまで下りて観光し、レズッシュまでは電車で移動することにしました。

さて、レズッシュからはTMB(Tour du Mont-Blanc 人気のモンブラン1周コース)と同じ道を辿ります。ここからは峠を越えて下ったところの川沿いを歩き コンタミンモンジョワ(Les Contamines-Monjoie)に到着。街を抜けハイキングコースを辿ると ノートルダム ドゥ ラゴルジュ(Notre-Dame de la Gorge)というかわいい絵の描いてある教会に出ます。この辺は観光客がたくさんいます。

その後道はコンタミンモンジョワ自然保護区(La réserve naturelle des Contamines-Montjoie)に入り、登り続けます。ずっと歩いてボンノム峠(Col du Bonhomme)を越えると自然保護区を出て、クロワデュボンノム峠(Col de la Croix du Bonhomme )に着きます。そこから小屋まで下るとその先は爽快な尾根道、体は疲れていますが、気分は最高です。どこまでもどこまでも山がつながっているような気分になる、このハイキングの中でも1、2を争う素敵な道でした。

GR5
フランス ロングハイク GR5

尾根道が終わると、プランドゥラレ小屋(Refuge du Plan de la Lai) に向けて下ります。で、そこからは ロズラン湖(Lac de Roselend)を右手に歩き、ブレッソン峠(Col de Bresson)に登ります。この峠の右手には ピエラメンタ(Pierra Menta)があります。

 

この2469mのブレッソン峠からおよそ1700m程下ったタロンテーズ谷(Tarentaise)で今回の GR5は終わります。

GR5はランドリー(Landry)という町に続いていますが、私たちは途中で親切な人が車に乗せてくれたので、 ランドリーよりやや西のエム(Aime)という町でGR5を終えることになりました。

ダンドッシュ小屋

ここは前日に電話で予約をしました。といっても、泊まっていたのは全部で3人。ドミトリーですが、他のお客さんとは別の部屋を振り当ててくれたので個室として使えました。

小屋ではペットボトルの水が買えます。食事にはオーガニック食材を使っているそうです。

シャペルダボンダンス

この町には小さなスーパーがあるので、お惣菜を買ってお昼を食べ、買い出しもしました。薬屋もあります。

 

スイスとの国境

パスポートのチェックなどはないので、みんな普通の山道と同じように行ったり来たりしています。国境にある山小屋でソシソン(サラミ)を買ったのですが、ユーロとスイスフランの両方使えました。小屋に水場があります。

スイスを歩いている途中に水場は見つけられませんでしたが、フランスに戻る際の国境にある峠より前の山小屋に水場がありました。

 

サモアンス

レストランやホテルにバー、薬屋パン屋にスーパー、なんでもあります。避暑地です。

街の外れのキャンプ場にはシャワーはもちろん、コインランドリーがあるので身ぐるみきれいになれます。

ポイントとなる町・場所の詳細

出発地点のトノン=レ=バン

湖の南岸をもう少し東側に行くと水で有名なエビアンがありますが、このトノン=レ=バンもテルム(Thermes)と呼ばれる温泉で有名です。最初はローマ人が見つけて使い始めたそうで、ちょっとあったかいプールのような感じでスパのように利用したり、処方箋を持ってテルムに治療しに行ったりするそうです。日本の熱々の温泉とは違うみたいです…。残念でなりません。

 

トノンを出発してからダンドッシュ山まで

この間に一泊しています。ヴァンジエ(Vinzier)にあると思っていたキャンプ場が潰れていた代わりに、市営のドミトリー(L’Alpinという名前)があって、一泊10ユーロで素泊まりできました(夜7時から8時の間に受付して支払い、その他の時間は 06 83 03 77 85 に電話)。

このドミトリーまでの間になかなか水場を見つけることができず水が尽きましたが、親切にも村の人が自分の家で水を汲んでくれました。更にその人は「庭でキャンプして泊まってっていいよ」と言ってくれたり、また別の人からは「何かお手伝いしましょうか?次の町まで乗せてってあげようか」と声をかけてもらったり。山の人は積極的に親切な人が多い気がします。

シャモニー

モンブランの氷河が街からも見えます。

本当にたくさん人がいて、活気があります。観光案内所には日本語が話せる愉快な女性がいて、「さつき」という日本食レストランを教えてもらいました。そこでお米を食べてパワーアップ。街中でジェラートも食べてやる気を更に充填。スーパーも薬局もスポーツショップもあるので足りないものも補充。ガスカートリッジを買いました。フランスでよく売っている青いキャンピングガスじゃないガスを探して2~3件スポーツショップを巡りました。

シャモニーには電車が通っているので、ここでGRを終わらせることもできます。エギュイデュミディに登るエレベーターに乗ったり、この辺でハイキングをしていくのも楽しそうです。

私たちは、GR5のルート上のレズッシュ(Les Houches)に戻るのに電車に乗りました。

レズッシュはそんなに大きい街ではありませんが、スーパーやキャンプ場、パン屋やレストランがあります。

 

コンタミンモンジョワ

スーパーやキャンプ場、ホテルがあります。観光案内所、スーパーやパン屋は12:30ごろから2時間くらい休憩で閉まっていました。トイレと水場があります。

 

コンタミンモンジョワ自然保護区

歩いている最中に雨が降ってきたので、自然保護区にある2件の山小屋に泊まれるか聞いてみたら両方とも予約でいっぱいでした。GR5だけでなくTMB(モンブラン一周)の道でもあり、ハイキングコースもあって人気なので、小屋に泊まるなら予約は必須と思います。

ロラ(La Rollaz)とバルム(La Balme)という2箇所にビバーク用の場所が確保されているのでテント張れます。

ボンノム峠とクロワデュボンノム峠

名前が似ていますが違う峠で、ボンノム峠に着いたと思ったら、まだしばらく先のクロワデュボンノム峠まで行かなければならないので、少し騙された気になります。

ボンノム小屋は人気の小屋なので小屋に泊まるには予約必須と思いますが、テン場は無料な上にいい眺めです。生ビールが飲めます。水場もあります。

ピエラメンタ

遠くから見ると山からぴょこんとボタンのように出ている、見分けやすい岩です。頂上にはクライミングでしか行かれないそうです。

4日間でスキーで10000m登って下る、という考えただけで息切れしそうな、毎年3月に行われる山スキーの大会の名前にもなっています。 

エムとランドリー

エム、ランドリー、は共にタロンテーズ(La Tarentaise)と呼ばれる谷にあります。電車でパリ・リヨン方面に行かれるのはもちろんですが、電車の終点駅のブル サンモリス(Bourg St-Maurice)で過ごすのも悪くないと思います。大きなキャンプ場やスーパーがあってレンタカーも借りられるので、さらに谷の奥にまで足を伸ばしてハイキングを続けたり、ちょっとイタリアに足を踏み入れることもできます。

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©︎2017 francehiking

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